下有知(しもうち)に伝わる昔話に 『咳止め地蔵』 があります
下有知中学校の近くの上切の交差点の角に咳止め地蔵があります。
昔そこは村の中央で近くに小川があり、川に橋がかかっていました。
この川は夏になれば田んぼに水を引くための大切な川です。
田植えが終わると、それぞれの人がこの川の水をせき止めて自分の田んぼへ水を引く所になっていました。
川の中に細長い石がドスンと置いてあり、この石をいろいろ動かして水の流れる方向を変えて、田んぼへ入れる水の量を加減するのです。
ある年、この村に悪い風邪がはやりました。
それでも田んぼへ入れる水の面倒をみなければいけません。
ある人が、風邪で体の具合が悪いのを我慢して、田んぼへ水を入れるためにここへ来ました。
ふと川の中をのぞいてびっくりしました。
なんと、その石が仏様の顔に見えます。
その人は、 『ああ、仏様が私の風邪を治してくださるのだ』 と、川端に座って何度も、何度もこの石を拝みました。
家に帰り、この話をすると家の者は 『本当か、それは不思議なことだ。きっと仏様が助けてくださるに違いないから風邪は治るだろう』 と、家の者も走ってその石を拝みに行きました。
すると、風邪は2、3日ですっかり元のように治っていました。
そこで、川からその石を拾い上げて近所におまつりしました。
それで、水を堰き止めていたから 『堰き止め地蔵』 そしてそれが 『咳止め地蔵』 になったのです。
この地蔵様の賽銭箱は、明治五年まで郵便ポストとして使われていたものです。
一度見て来られると面白いですよ。
「下有知の民話」池村兼武氏 著 より要約
2015年12月27日
下有知ふれあいのまちづくり推進委員会
委員長 高橋正次(下有知区長会長)